◆上川あや

本日、私からは外国籍の子どもを取り巻く教育環境について伺います。

初めに課題提起しますのは、子どもの名前の扱いについてです。
海外の研究者が、日本の学校で学ぶ外国籍の子どもたちにインタビューを行って名前を尋ねますと、おかしな返答がたびたび返されるのだそうです。どの名前が知りたいのと逆に尋ねられたり、本当の名前、それとも日本の名前、あるいは学校の名前と聞かれることもあるそうです。なぜそんなことが起こるのかといいますと、日本の学校では、正しい本名がそのままの長さで、そのままの語順で、原語に近い発音で登録され、使用されるとは限らないからだそうです。

例えば、在日ブラジル東京領事館の二〇〇七年の住民データで、在日ブラジル人の名前で最も多いパターンは名前が三つの人たちで、全体の四七%を占めました。次に多いのは名前が四つある人たちで三三%、さらに名前が五つあるいは六つ並ぶ人も三%存在したそうです。これらを合わせると、三つ以上名前があるケースが八三%に上っています。ところが、こうした三つ以上の本名を教育現場がどれだけ尊重しているのでしょうかと所管に伺いますと、取り扱いの共通ルールは一切なく、すべては現場判断、現状の把握もないというお答えでした。

名前の数以外に発音の問題もあるそうです。本当は入学手続の際、教育委員会の職員が保護者や登録に来た方に子どもの名前をゆっくり発音してもらい、その音を忠実に拾って名簿をつくることが徹底されるといいんですけれども、教育委員会に伺うと、こうしたルールもまたないということでした。そうなると、おかしなことが起こるそうです。
本来頭のRの音を発音せずにホベルトと呼ぶべきポルトガル語の名前が、読み方の確認もなく、単純にローマ字読みされて名簿に登載された結果、突然ロベルトとスペイン語風に名前が変えられたりするということが間々あるそうで、これは研究者に言わせると少ない事例ではないそうです。
子どもの名前の尊重というのは、日本が批准する子どもの権利条約にも明確に規定されている人権の一部だろうと思います。もっと相手の文化に、背景に関心を持って、本人や保護者の意向に慎重に寄り添って確かめる姿勢ということが大切だと思います。教育委員会として名簿作成上の共通のルールをつくっていただくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

◎伊佐 学務課長

外国籍の子どもたちにつきましては、現行法令上は就学義務が生じないということでございますけれども、申し出がございましたら、就学手続を行っていただいた上で、区立学校に受け入れをしているところでございます。この就学申請書におきましては、氏名、通称名、国籍を記入する欄などを設けており、申請者による記載のまま受け付けをさせていただいているところでございます。
お話にございました学校内での対応につきましては、通常、学校への受け入れに際しまして、学校と保護者などが面談した上で、その意向を踏まえた姓名により名簿を作成していくものというふうに考えております。
区教育委員会といたしましては、今後とも学校での名簿作成に当たりましては保護者や当事者である児童生徒の意向を尊重するよう、学校長等に働きかけていくとともに、名簿作成の共通ルールにつきましても研究、検討してまいりたい、かように考えております。

◆上川あや

積極的にお願いします。

続いて、日本語を母語としない子どもに対する日本語教育について伺います。
現状では、世田谷区立の小中学校でこうした子どもたちに対して行われる日本語教育は、日本人と同じ方法、つまり、国語を教える要領で日本語を教えているのだと理解しています。一方、文部科学省では、二〇〇一年から学校教育において日本語を第二言語として教授するプログラム、JSLカリキュラムというんだそうですが、これを開発しています。JSLはジャパニーズ・アズ・セカンドランゲージの略。つまり、既に外国語を習得している子どもたちに第二言語として日本語を教えていくスキルということです。
二〇〇三年には小学校のカリキュラムの最終報告が取りまとめられていますし、二〇〇七年には中学校編として五教科に連動したプログラムも開発をされています。こうした研究成果を、ぜひ世田谷区の教育環境でも生かしていただきたいと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

◎平川 教育指導課長

教育委員会では梅丘中学校内に帰国外国人教育相談室を設置し、また、梅丘中、上北沢小、八幡小、千歳小を指導支援校として、外国籍の子どもや海外から帰国した子どもへの日本語指導を行っております。相談室や支援校の教職員は、外国籍の子どもや帰国した子どもたちの在籍する学校への訪問指導を行ったり、また、水曜日や土曜日に相談室で補習学級を実施したりしております。
また、教育委員会では、日本語が困難な外国籍の子どもを対象として、転入学の初期に日本語指導等補助員を学校に四十時間程度派遣することもできるようにしております。さらに三宿中学校では夜間学級を併設しておりまして、通常学級と日本語学級がそこには設置されております。夜間学級では生徒の約八割が外国籍でございまして、生徒の日本語の習熟の実態に合わせた少人数による指導や個別指導を通して、生徒一人一人の能力等に合わせた日本語の学習を行っているところでございます。
今後も、委員ご提案の内容も研究、検討させていただきながら、外国籍の子ども、海外から帰国した子どもの一人一人が充実した学校生活が過ごせるように、支援の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

◆上川あや

最後に、外国籍の子どもの不就学、学校に通っていない状態について伺います。
教育委員会では毎年一月に、新しく小中学校に入学、進学する児童生徒の保護者に就学通知書を送付しています。この送付は義務教育の対象とならない外国籍の子どもに対しても同様だそうです。しかし、その後のフォローとなりますと、日本国籍かどうかで雲泥の差があるようです。
義務教育の子どもに対しては不就学は厳しくチェックされてフォローされますけれども、それに対して外国の子はそのフォローを受けません。現に世田谷区の就学通知の案内を見ても、入学を希望されない場合は連絡は必要ありませんとなっていて、不就学の補足がないんだそうです。ぜひこれを変えていただきたいと思いますが、ご答弁をお願いします。

◎伊佐 学務課長

今お話しにありましたように、私ども教育委員会といたしましては、毎年十月に外国人登録の学齢期にある――今後ともその状況把握につきましては、国や都の助言などを受けながら、関係所管とも協議をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

◆上川あや

事は子どもの人生と人権にかかわる非常に重要なことですので、外国籍の子どもが義務教育対称でないからといって関心が薄いということは、私は許されないと道義的には考えていますので、しっかりとした取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。