◆三十七番(上川あや 議員)
本日は、障害者の就業支援について取り上げます。
まず初めに、世田谷区及び特別区の障害者雇用についてお伺いいたします。
障害者雇用の指標として法定雇用率が知られています。障害者雇用促進法は、雇用者を持つ全事業者に一定率以上の身体障害者、知的障害者の雇用を義務づけ、地方公共団体には常用労働者の二・一%以上を、民間の一般事業主に対して一・八%以上の雇用を求めています。
今年度、当区の法定雇用率は二・四七%であります。
法で義務づけられた率こそ上回っておりますが、この割合は十一年度以降、一貫して低下しており、今年度の数値は十一年度に比べ三割も減少しています。
一方、共通の人事委員会を持つ特別区の法定雇用率も、十一年度の三・二一%から今年度は二・七六%へと減少しており、当区は特別区の平均を常に下回っているのが現状です。
昨年四月、ノーマライゼーション理念の浸透と、障害を補う技術革新、欠格条項の見直しなどを背景に、算出対象の職域が拡大されました。計算の母数がふえたことにより、今年度の法定雇用率に低下が見られますが、制度改革の趣旨を正しく理解するならば、雇用率の低落は肯定されるべきものではありません。
また、当区では昨年の制度改正以前から一貫して雇用率が減少しており、障害者の積極的な雇用に向け、さらなる努力が必要と考えます。区は障害者雇用の今後の方向性をどうお考えであるのか、お聞かせください。
また、特別区の障害者雇用についても一層の積極性が望まれます。当区においても、その構成員としての立場から積極的な進言をいただきたいと考えますが、区のご所見をお聞かせください。
さらに、当区の現状を見ると、身体障害者だけを雇用し、知的障害者は一切受け入れてはおりません。
区は民間に対し、知的障害者の雇用拡充を繰り返し求めておりますが、みずからは一切受け入れない現状からは、はたから見て手前勝手とのそしりは免れないものと考えます。
区には範を示す積極的な姿勢こそ求めたいと考えますが、現状を変えていく意欲が区にあるのか、ないのか、お答えください。
続いて、区の外郭団体について伺います。
当区の十三の外郭団体では全体で五百七十人余りの常勤固有職員を抱えていますが、そのうち障害を持つ職員はたった二人というデータがあります。
つまり、障害者の正規雇用はほとんどありません。
短時間雇用を含め障害者を受け入れているのはいずれも雇用状況の報告を義務づけられている団体であり、残り九団体は一人の障害者も雇用していません。また、保健センターは法定雇用率を満たさず、法に違反しています。
一方、サービス公社、社会福祉協議会、社会福祉事業団の三団体は計算上十分な法定雇用率を計上しておりますが、非正規雇用の障害者、短時間勤務の重度障害者の算入により算出された数字であります。
障害者雇用促進法の本旨は、障害者を健常者と同じ水準で雇用することであります。外郭団体の現状は改善の必要を大いに含むと考えますが、区として改善を指導していくおつもりがあるのか、お聞かせください。
続きまして、区内の民間企業における障害者雇用について伺います。
今年度、当区の民間企業で法定雇用率を満たした割合は二七・八%となっています。
実に七割以上が法的義務を果たしていないのが実情です。
区内平均の障害者雇用率は一・三八%と、法が求める一・八%をかなり下回り、全国平均をも下回っています。
区は事態の改善に向けて、区内企業への働きかけを強めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、区内最大の事業者である区も、そのスケールメリットを生かし主体的な取り組みを検討するべきと考えます。
昨年、熊本県や神戸市は、法定雇用率を遵守する企業を入札参加資格で優遇する制度を導入しています。また、山形県や三重県でも、障害者を積極的に雇用している企業、授産施設や小規模作業所を物品調達で優遇する制度を導入しています。
世田谷区の入札も、金額だけを基準としたものから、環境や男女共同参画、障害者雇用など、企業の努力を積極的に評価し、社会構造の変革を促すものへとその形態を柔軟に変化させていくべきだと考えます。
障害者の雇用に努力する企業と法の義務を果たさぬ企業を同列に扱う現行の入札についても再考の余地が大きいものと考えますが、いかがでしょうか。
企業努力に報いる入札形態の必要性について区のご所見をお聞かせください。
また、障害ある方の職業適性を見きわめ、就労への理解を深める機会として実習訓練の場が求められておりますが、役所みずからが率先して場を提供する取り組みが横浜市や仙台市で始まっています。
横浜市では、実習訓練事業の実施に先立ち、養護学校の生徒二人に区役所での書類整理、仕分けの作業をしてもらったそうですが、その仕事ぶりがパートよりもよいと評価され、知的障害者でも仕事ができるとの評価が役所内にできたといいます。
この結果、これまで全く手つかずだった知的障害者の採用を人事課も検討し始めたといいます。
仙台市でも知的障害者に対する実習訓練を市役所で実施することに決め、市長みずからが会見を開くほどの熱心さです。
当区もみずから率先して実習機会を提供し、就労支援とともに職員意識の向上につなげてはいかがかと考えます。
区のご所見をお聞かせください。
続いて、精神障害者に対する就労支援に関してお伺いいたします。
現在、国会では精神障害者を新たに法定雇用率の算定対象に加える障害者雇用促進法の改正案が提出されております。
当事者やご家族の悲願が実現に近づいておりますが、制度改正が十分な効果を発揮するためには就労支援策の充実や受け入れ企業におけるメンタルヘルスケアなど多くの課題がございます。
今回の制度改革にあわせ区はどのように取り組まれるおつもりがあるのか、お聞かせください。
最後に、精神障害者に対する正しい知識の普及啓発についてお伺いいたします。
社会には依然、精神障害に対して多くの誤解が存在しています。認知症はだれもがかかり得る疾患として認識されますが、同じ精神疾患でも統合失調症や気分障害は自分には無縁なものととらえられがちです。
また、犯罪と精神障害を結びつけ、精神障害者を危険視する傾向も少なくありません。
実際には、刑法犯として検挙された者のうち精神障害者の占める割合は〇・六%程度であり、精神障害者のうち〇・一%にすぎません。
危険視が的を射ないことは、このことからも明らかであります。
精神保健福祉が入院主体から地域における保健、医療、福祉へと転換する中、精神疾患に対する理解の促進が不可欠の課題であります。
厚生労働省は昨年三月、国民各層が精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針として「こころのバリアフリー宣言」を取りまとめました。
地域に根差した取り組みの実施をこの指針は求めておりますが、区はこれにどうこたえていくおつもりであるのか、お聞かせください。
◎永山 総務部長
私からは二点についてお答えさせていただきます。
まず最初は、区の障害者雇用率が低落している、今後の取り組みはどうかというお話でございます。
障害者の法定雇用率につきましては、お話にもございましたように、民間が一・八%、官公庁が二・一%となっており、世田谷区では法定雇用率は満たしておりますけれども、平成十五年は二・七四%、十六年は二・四七%と減少しております。しかし、これは厚労省の算定方法が変わったことから減少したもので、雇用数自体は百二十三人から百二十八人と増加をしております。
障害を持つ方を職員として雇用する場合には、例えば車いすを利用する職員では、専用駐車場の確保、トイレの整備、事務室の移動スペースの確保と、現庁舎では限界もありますが、民間企業に率先して雇用する必要があると考え、今年度及び十八年度の職員採用に向けましても複数の職員を採用すべく人事委員会に申請したところでございます。
今後とも、法定雇用率はもとより、特別区が目標としております雇用率三%を目指して取り組んでまいります。
また、特別区に進言してはというお話がございました。
各区それぞれ目標達成に向けて取り組んでおりますので、まずは当区の雇用率を高めるよう努力したいと考えております。
それから、知的障害者を雇用すべきではないかということについてお答えを申し上げます。
職員の採用につきましては、二十三区の人事委員会で行っております。
人事委員会では、身体障害者を対象とする事務職の採用選考を一般の試験よりも受験年齢を広げ、別枠で実施しております。しかし、競争試験を前提としていることから、知的障害者は対象としておりません。
そこで、当区では、行政を補完する目的で設立されたサービス公社や社会福祉協議会、社会福祉事業団の採用で、区の施設の受付や清掃、喫茶など、百名を超える知的障害者の方々が働いております。
区では、このように障害者の就労促進事業として知的障害者の方にも間接的に雇用機会を提供しております。
以上でございます。
◎西澤 政策経営部長
私からは、外郭団体においても能力ある障害者の雇用をすべきではないか、区は指導していくつもりはあるのかというふうな点につきましてお答え申し上げます。
外郭団体における障害者の雇用につきましては、今、総務部長からの答弁もございましたように、施設の受付、清掃等を中心にして、具体的にはサービス公社において法定雇用率を大幅に上回る障害者を雇用しているほか、社会福祉協議会の福祉喫茶事業ですとか社会福祉事業団の特別養護老人ホームの管理など、外郭団体の自主事業における雇用などによりまして就業の場の確保を図っているところでございます。
しかし一方で、ご指摘のような法定雇用率を満たしていない団体の存在やいわゆる常勤固有職員としての雇用の問題などの課題もございます。団体の規模や業務の内容により難しい状況もございますけれども、区が出資する公益法人であることを踏まえまして、今後とも外郭団体改善方針に基づきまして継続的に指導助言を行ってまいりたいと存じます。
以上です。
◎秋山 在宅サービス部長
当区民間の障害者雇用率は全国平均以下で、区内企業への働きかけ、主体的に取り組むべき方策、それから区での実習訓練についてお答えいたします。
世田谷区では、経済商工団体の協力を得て障害者雇用の促進を進めるため、平成十五年度に世田谷区障害者雇用促進協議会を設立いたしました。平成十六年度は、当協議会が施設見学会、就労勉強会、障害者雇用促進イベントを開催し、障害者雇用の促進を強く訴えてまいりました。
この協議会活動の中で東京青年会議所世田谷区委員会が、メンバー、主に中小企業の方々なんですけれども、三百二十四名に対して行った障害者に対する認識調査が報告をされました。
障害者の方たちと接する機会が多ければ多い人ほど障害者雇用を進めており、障害者雇用を進めていくためには、まず正しく障害を理解し触れ合う機会をつくることが大切だということが報告されました。
区民自身から始めることも有効だということでございます。
今後とも、世田谷区障害者雇用促進協議会の活動を通し、区内企業に対して障害への理解と雇用への啓発活動を進めてまいりたいと存じます。
また、区役所を実習体験の場にということでございますが、障害者が就労するためには、就労に向けての実習体験が有効であるとの判断から、障害者の方には実習手当金として交通費を支給するとともに、ハローワークと連携してさまざまな企業に対して実習体験の場の確保をお願いしております。
区役所の場を活用した実習機会の提供につきましては、ノーマライゼーションプランの中でも検討してまいりたいと考えております。
もう一点、精神障害者の就労支援についての取り組みでございます。
国は、精神障害者を法定雇用率の算定対象とする精神障害者雇用促進法改正案を通常国会に提出しております。
これまで障害者雇用率制度の適用となっていなかった精神障害者である労働者及び短時間労働者を各事業主の雇用率の算定対象とするものです。平成十六年四月より、区では精神障害者包括的就労支援事業を開始し、精神障害者就労支援センター、しごとネットを設置し、就労相談、求職活動、ジョブコーチと言われている職場定着支援を関係者との連携のもとに始めました。
また、精神障害者短期訓練事業では、社会就労センター、パイ焼き釜の授産機能を活用し、作業を通して体力、持続力など働くために必要な項目について現状を評価し訓練を行い、その方に合った就労先を探っていくなど、行ってきました。
その結果、働く意欲がある方に支援を行うことにより、平成十六年十二月現在で二十四名の方の就労実績を上げました。今後も法改正によりなお一層求められる精神障害者就労支援に向けて、関係各機関とより一層の連携を図りながら障害者雇用の促進に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎室星 財務部長
私の方からは、企業の障害者雇用の努力に報いる入札形態の必要性についてというご質問にお答えをいたします。
ご指摘のように、近年、県あるいは政令指定都市レベルにおきましては、障害者の雇用率が一定率以上の企業、また授産施設等に対し随意契約における優先的取り扱いや入札参加資格登録の際の優遇措置を講じることなど、官公庁の分野におきましても障害者施策の一つとして取り組まれていると伺っております。
現在、世田谷区におきましては、障害者の方が多く就労している法人が作成した封筒等の購入や授産施設等に対する公園清掃委託など、業務内容に応じ、障害者の就労実態に配慮した随意契約を行うなど、発注契約の面からも障害者雇用への側面的支援にも努めているところです。
企業の障害者雇用の努力に対する入札参加等への配慮というご提案につきましては、区内企業を含め、特に中小企業では障害者雇用率がいまだに低いのが現実と承知しており、課題も多くあるものと認識しておりますが、今後は国における障害者雇用促進法改正の動きも見きわめつつ、ご質問の趣旨も踏まえ、世田谷区としてさらにどのような対応が行えるのか、十分研究してまいりたいと存じます。
以上でございます。
◎永見 世田谷保健所長
精神障害者に対する正しい知識の普及啓発についてのご質問にお答えいたします。
入院医療中心から地域生活へという基本的な方策を進めていくためには、精神疾患に対する正しい理解が必要であり、議員ご指摘のように、国では平成十六年三月に心のバリアフリー宣言をまとめました。その中には、精神疾患を自分の問題として考えてもらうために、生涯を通じて五人に一人は精神疾患にかかると言われていると書かれており、生活習慣病等のようにだれでもかかり得る身近な病気ととらえています。
区では、保健所等の広報紙、講演会、エフエム世田谷などを活用して普及啓発を継続的に行っています。
平成十五年度よりエフエム世田谷で精神保健関係の話を放送しています。また、精神保健福祉講演会を平成十五年度には四十七回実施し、延べ千百八人の方が参加されています。
今後とも、あらゆる媒体を通じ、また、就労支援センターなどの民間団体とも連携して普及啓発活動を進めてまいります。
以上です。
◆三十七番(上川あや 議員)
ご答弁ありがとうございます。
まず、一点質問させていただきます。区の知的障害者の雇用に関してです。
区には正規職員などで現在五千七百人の方がいるということで、基本として二十三区共通の採用をしているというシステムは存じております。
ただ、非正規雇用の方、あるいはアルバイトといった方が一千名ほどいるそうでして、これは一般的に考えれば大企業レベルの人数なのです。これで知的障害者の採用を一切していないということは通らないことではないかと思います。
民間には、知的障害者の就労について、その受け入れについてさまざまな努力、工夫をお願いしながら、みずからも工夫していくという姿勢を見せていただかなければ困ると思いますが、このあたりは問題だと思います。
私は質問の中では、今後このシステム、現状を変えていくつもりがあるのか、知的障害者についても何らかの形でその就労をみずから引き受けるつもりがあるのかという将来設計のことを聞いていますので、その方向性についてお答えいただいておりません。
どうぞご答弁ください。
◎永山 総務部長
知的障害者にとってもふさわしい仕事でなければならないと思います。
現在、作業的業務というのはほとんど民間委託しているというような現状がございます。したがいまして、ふさわしい仕事があるのかどうか、また、あるとすれば、雇用形態に工夫の余地があるのかどうか、そういったことを検討してみたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆三十七番(上川あや 議員)
先ほど、在宅サービス部長から、実際に触れ合うことの大切さ、触れ合うところほど雇用が推進されているというお話がありましたけれども、現状、触れ合う機会がない。大変残念だと思います。
それから、時間がないんですが、社会福祉協議会は十六人の重度障害者の方を非常勤で雇用しているそうなのですが、厚生労働省令が定めている障害者職業生活相談員の選任というものをしていないんだそうですね。
しっかり義務を果たすように最後に要望して、終わります。