◆三十六番(上川あや議員)
まず初めに、障害者スポーツの振興についてお伺いいたします。
区では現在、いつでも、だれでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現を目指して、スポーツ振興計画の策定に着手しております。
しかし、本計画案において障害者に関する記述は一切なく、配慮ある記述が必要であるということについては、本年二月の文教委員会でも申し上げたとおりです。
また、区の障害者基本計画であるせたがやノーマライゼーションプランでは、障害者の完全参加を目指すとうたいながら、やはりスポーツに関する記述は皆無に近いのが現状です。
これまでの区政において、障害者スポーツがこれほど軽視されてきた背景には、社会に根強い、スポーツは健常者が行うものとの思い込み、スポーツに親しむ障害者は例外的との過小評価があるように感じます。
現在、都では国立と北区の二カ所に障害者スポーツセンターを設置し、広域の障害者ニーズに対応することとしております。
しかし、同センターの利用者統計を拝見しますと、社会の思い込みとは異なる障害者像が見えてまいります。
北区にある同センターには、区部全域に約二万人の利用者登録を抱えています。
しかし、その内訳を見ますと、地元の北区が一七%を占め、隣接する五区と合わせると約六割が近隣区で占められています。
同センターから遠い世田谷からの登録は、たった六百四十六人にすぎません。
この結果、北区では全障害者の四人に一人が同センターに利用登録をしていますが、世田谷区では全障害者の三・五%が登録しているにすぎません。つまり、遠い施設では、いかに内容が充実していようとも、実際の利用にはつながらないのであります。
また、同センターの利用者アンケートによれば、週一回以上利用している方々が全体の八割に上り、日常生活にスポーツが溶け込んでいる様子が見てとれます。
障害者がその障害を軽減し、健康維持・増進させる上でスポーツの果たす役割は健常者以上に重要であります。
また、生きがいをはぐくみ、生活を豊かにする効果も健常者同様に重要であります。
そこで、区内の潜在的な障害者ニーズに対応していく具体策として、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
まず第一に、区内の障害者スポーツの現状と今後の必要性について、教育長、在宅サービス部長にそれぞれのご見解をお伺いいたします。
第二に、ハード面の改善策として、区内スポーツ施設のバリアフリー化が急務と考えます。
また、障害者スポーツに必要な備品、音の出るボール、高さの異なるゴールやネット、こういったものの整備と提供に取り組む必要もあると考えますが、いかがでしょうか。
第三に、障害者が安全・快適に、効果的にスポーツに親しむためには、人的、制度的な環境整備が不可欠であります。
多様な障害特性に応じ、各種スポーツを指導できる人材の確保も必要です。
日本障害者スポーツ協会では、医学、障害学、障害者競技などに精通した専門家の育成に取り組んでいますが、区も、こうした社会資源の積極的な活用を考える必要があると考えます。
また、障害に応じて効果的なリハビリを行い、リスクの低減を図る観点から、医師、理学療法士らと連携した医事相談も必要とされましょう。さらに、障害のある方が周囲の好奇の目線や、障害に起因する能力差に気兼ねして、本来の参加意欲が損なわれることのないよう、施設の運用に配慮し、コミュニケーション支援を行うことも必要であります。
そして、区内スポーツ施設の障害者割引は、プール施設でのみ制度化されていますが、他の施設にも拡充するべきと考えます。それぞれ区の見解をお伺いいたします。
第四に、スポーツ大会、スポーツ教室等への参加機会の提供であります。
区民スポーツ大会等のプログラムを見ますと、障害ある方の参加を全く想定していないと私は感じます。また、スポーツ教室についても、児童に主眼を置いた体操・水泳教室があるのみで、門戸の開放と拡充が必要と考えますが、区のご見解をお伺いいたします。
第五に、通常の学級に障害ある児童生徒が通う現状を考えますと、健常者のスポーツに障害児を沿わせる方向のみならず、障害のある児童もない児童も、双方が学び合い、ともに親しめる教育こそが必要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
最後に、障害のある人々を理解し、共感する姿勢は区の全領域に必要とされます。行政の縦割りを廃し、共感のネットワークを全領域にどう広げていくのか、政策経営部長のご答弁をお願いいたします。
続きまして、待つ広報広聴から、出向く広報広聴への変革について伺います。
私は、これまでの議会質問の中で、声の上げにくい方々の切実なニーズを再三にわたり取り上げてまいりました。
しかし、いずれの解決に当たっても、まず最初に障壁となりましたのは、所管に正確なニーズが認識されていないという現実です。区民本来のニーズを把握するためには、他会派の質問にもありましたとおり、声なき声にも耳を傾ける、その積極性が必要でありますが、区の具体策は見えてまいりません。
区長は、就任以来、区民の目線に立って聞く耳をもつと繰り返し表明なさっています。
みずからタウンミーティングに足を運び、区民の声に耳を傾けているお姿からは、待つだけの広報広聴から、積極的に区民の中に入っていく広報広聴が全領域に必要であることを、みずからの行動でお示しになっているものと拝察いたしますが、区長に続く各領域の取り組みがあらわれてこないのであります。
当区においても、区民に交わる出前講座的な取り組みを、清掃・リサイクル、保健衛生などの一部が実施していると承知をしていますが、その他の大半の所管においては、施策の展開を前に、地ならし的な説明会を散発的に行っているにすぎず、行政の都合に合わせた取り組みは、区民の目線とは似て非なるものと考えます。
こうした旧来型の対応を見直す見地から、近年、体系的な出前講座を実践する自治体がふえてまいりました。
一例として、北九州市では平成二年より全庁的な取り組みとしての出前講座を実施し、延べ四千回、実に二十二万人もの市民が利用していると伺います。
私は、職員の目線を区民により近づけていくためには、体系的な出前講座に取り組むことも区民にわかりやすいよい手法だと考えますが、ご検討のおつもりがあるのか、お伺いをいたします。
また、区民本来のニーズを把握するその本旨からは、行政がテーマを設定するだけではなく、区民のリクエストにも柔軟に対応する姿勢が求められます。
この点についても、区のご所見をぜひともお聞かせください。
以上、壇上からの質問を終わらせていただきます。
◎若井田 教育長
上川議員のご質問にお答え申し上げます。
初めに、区の障害者スポーツに関する施策の現状と必要性についてでございます。
障害のある方のスポーツは、かつては福祉施設などでのリハビリテーションの手段という側面が強かったと考えますが、現在はレクリエーション、あるいは競技スポーツとして、みずからの興味と意欲に応じて参加する自主的なものへと広がりつつあると認識いたしております。
区では、障害のある方もない方も、子どもから高齢者までが、いつでも、どこでも、だれでも、いつまでも気軽にスポーツに親しみ、楽しむことのできる生涯スポーツ社会の実現を基本に据えております。今後は、ソフト、ハード両面の環境整備を進め、障害がある方が、より一層気楽にスポーツ・レクリエーションに参加できるような事業展開に取り組んでまいります。
次に、障害のある児童もない児童も、双方が学び合う教育についてお答えを申し上げます。
スポーツの世界では障害のある方とない方を区別せず、ともに学び合い、ともに競い合うという新しい文化が広がりつつあると認識いたしております。
例えば障害のある方とない方が、同じ車いすに乗り、ともに競い合う車いすバスケットボールなどは、既に毎年国際大会が開かれるまでになっております。
世田谷区では障害者の基本計画である、平成十三年に策定されましたせたがやノーマライゼーションプランの中で、障害は個人の身体的または精神的属性の一つにすぎず、すべて障害者は個人の尊厳が尊重され、そしてその尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有すると高らかにうたってまいりました。
この理念を教育の現場に当てはめてみれば、まさにお話しのとおり、障害のある児童もない児童も、双方がともに学び合い、親しみ合う教育が今こそ求められており、学校等でより一層実践していくよう最大限の努力を行ってまいります。
どうかご理解、ご支援をお願いいたします。
以上でございます。
◎秋山 在宅サービス部長
障害者スポーツの現状と今後の必要性について、在宅サービス部の立場でということでお答えいたします。
障害者の文化・スポーツ・レクリエーション活動への参加は、障害者の社会参加の促進や生きがい形成に資するだけではなく、地域社会における障害者に対する理解を深める上でも重要と認識いたしております。
今後策定を予定しております、せたがやノーマライゼーションプランの検討の中で、障害者が積極的にスポーツ活動に参加するための体制整備につきまして、地域保健福祉審議会のご議論をいただきながら考えてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◎庄司 教育次長
障害者スポーツに関連しての質問三点についてお答え申し上げます。
まず、施設の改善、備品等の整備提供についてでございます。
区では、福祉のいえ・まち推進条例にのっとって、計画的に施設のバリアフリー化に取り組んでまいりました。
例えば、八幡山小地域体育館は車いすでも利用可能な地域体育施設として、多くの区民の皆様にご利用いただいております。
また、平成十七年度には総合運動場体育館の大規模改修を計画しており、施設内すべての利用者動線の段差解消など、より一層のバリアフリー化を実現したいと考えております。
さらに、その他のスポーツ施設についても、改修時や修繕の機会をとらえてバリアフリー化を進め、障害者、高齢者など多くの区民が利用しやすい施設へ改善を進めてまいります。
一方、障害者スポーツ種目用の専用設備や関連機材等につきましては、整備がまだ行き届いていない現状にございます。
今後障害者スポーツのニーズをとらえ、対象となる競技種目や、それに見合った機材の選定など、具体的に検討を行ってまいります。
次に、人的、制度的な環境整備を図れとのご質問でございました。
区には現在、教育委員会が認定した障害児体操及び障害者水泳の世田谷区スポーツ指導員が約百人おります。
こうした指導員には、スポーツ振興財団が実施する障害者運動教室などで専門的な指導者としての役割を担っていただいています。障害者のスポーツ参加が大きな広がりを見せている現在、専門知識を備えた指導員などの人材育成に一層取り組む必要があります。
このため、区はスポーツ振興財団と連携し、障害者スポーツの特性やスポーツ科学等を題材とした講習会などを通じて、指導者の養成に取り組んでまいります。
あわせて、障害者のプール利用に関しましては、既に実施している優遇料金の対象施設を拡大することや、障害者の優先予約、また医療ケアやリハビリでは、保健福祉の連携によって、制度面での整備、障害者のニーズと障害のない方が利用する実態のバランスに配慮しながら検討してまいります。
最後に、障害のある区民も参加できるスポーツ教室、体育大会等の方策でございます。
スポーツ振興財団では、これまでの障害児スポーツ教室に加えて、今年度から新規事業として障害者スポーツ交流デイを予定し、障害者のスポーツ振興と参加機会の一層の拡大を目指してまいります。
パラリンピックの例を挙げるまでもなく、障害者スポーツは単なる参加から、競技性を強めたものまで大きな広がりを見せております。
区としても、そうした実態にこたえた障害者スポーツの機会充実が課題となっております。
今後とも、施設設備の充実や施策の要請、活用など工夫を重ね、より多くの障害者が参加の機会を広げられるよう、スポーツ振興財団と協議しながら取り組みを進めてまいります。
以上でございます。
◎西澤 政策経営部長
私からは、二点にわたりましてご答弁申し上げます。
まず、障害児スポーツの振興に関連いたしまして、障害のある方々に対し行政の縦割りを廃し、共感のネットワークを全領域にどう広げていくのかというご質問にお答えします。
障害のあるなしにかかわらず、すべての区民の方々が身近な地域社会の中で、安全で快適な日常生活を送れるようにすることは区の大きな役割と認識しております。
そのためには、区の事業に携わるすべての職員が、所管にかかわらず、障害を持つ方も健常者と同様のサービスや環境を受けられるよう、事業を組み立てる意識が必要であり、こうした心や姿勢を大切にするところから、まちづくりが始まるものと考えております。
そのために、職員向けの研修制度や広報の改善など、問題意識の醸成を図ることも一つの方策ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、ノーマライゼーションを推進する上からも、行政の縦割りの弊害を排除しまして、区政の総合的な調整に努めてまいります。
それから次に、出向く広報広聴への変革についてということで、職員の出前講座を検討したらどうかという点と、区民の目線で、求められるテーマにも柔軟に対応するつもりはあるのかというご質問にお答えいたします。
区長が区民の声を直接伺い、区の施策に反映するためのタウンミーティングを実施しておりますが、そのほかにも、あらゆる機会をとらえて、区民と直接話をするよう努めております。
さまざまな区政課題を解決するためには、職員と区民の協働という観点が大切であり、区の施策や事業を知ってもらいながら、区民のご意見をお伺いする、あるいは一緒に課題について解決策を考えることは大切な視点であると考えております。
職員が講師となって地域へ出向き、区の施策や事業について説明を行う、いわゆる出前講座的なものにつきましては、ご指摘のように、現在、保健衛生やごみ・リサイクルに関しまして、学校の総合学習や町会などへ出向きまして講習を行うなどの取り組みをしてございます。
また、その他の所管課におきましても、区民からの要望に応じ、学習会の場や地域へ出向き、区の施策や事業等をご説明させていただいております。
このように、既に出前講座型の事業は行ってきておりますが、それらが区民のリクエストにも十分こたえられるように、今後充実を検討してまいります。
以上です。
◆三十六番(上川あや 議員)
政策経営部長の二つのご答弁に対してですけれども、これまでの数少ない取り組みを探し出し、並べ立てまして、さも十分な取り組みが既にあるかのような、そういった視点が私には見受けられます。
これは、実際的には何ら前向きな内容を伴わない、いわば粉飾決算であろうと思います。
全庁的な姿勢で、各所管が区民のもとに出ていく必要をお認めであるのであれば、それを裏づける体系的な取り組みを避けて通る必要はないはずです。
また、各所管が積極的に対応すればよく、体系的に取り組む必要まではないというご判断であれば、各所管が区民のもとに積極的に出ていく姿勢を持って対応していくことをはっきりと証明なさるべきです。
必要性は認めるが、何ら具体的な方策を示さぬ答弁ではつじつまが合いません。つまりは玉虫色の答弁は不要です。
再度お伺いいたします。
第一に出前講座といった取り組みを積極的に検討するおつもりがあるのかないのか、お答えください。
第二に、区の広報広聴は現状で十分と考えているのか、あるいは他の手法で流れを変えていくおつもりなのかについてもお伺いしたいと思います。
以上二点、お願いいたします。
◎西澤 政策経営部長
出前講座を積極的に検討するつもりがあるのかと、まず第一点目でございます。再度ご答弁申し上げます。
現在、庁内の各所管では、それぞれの事務事業の展開の中で、区民へのさまざまな事業の説明等、周知を図ってございます。
これらの実施状況を十分踏まえた上で、ご指摘の出前講座につきましても、議員がご紹介いただきました他の自治体の出前講座の例も踏まえまして、区での有用性等を十分検討してまいります。
区の行っている取り組みを一人でも多くの区民の方々に知っていただく方策を考えていきたいと考えております。
また二点目に、現在の広報広聴は十分と考えているかという点でございますけれども、昨日の一般質問の中でも広報についてご答弁申し上げましたが、八十万区民の皆さんに、より身近な広報広聴として、現状に満足せず、よりよい広報広聴を目指していきたいと考えてございます。
議員ご指摘の出向く広報広聴につきましても、これからの政策広報のあり方のポイントの一つであるというふうに考えております。
広報広聴に携わるすべての職員の意識改革を念頭に、今後取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
◆三十六番(上川あや 議員)
ご答弁ありがとうございます。
ぜひ区長の率先したアクションに続きまして、全体的な取り組みとしていただきたいと思います。
あと一点、これは要望なんですけれども、障害のある児童が今、区内の小中学校にもいらっしゃるということで、体育が行われている中で、ややもすると障害を持つ児童生徒が審判役であったり、またはお休みして横で見ているような状態であったりと。
何らかの工夫があれば対処できるものもあるように思うんですけれども、現場一人一人の意識の改革がなければ、なかなかこういった状況は追いついてこないと思っております。
ぜひ教育長のリーダーシップをもって、きめ細やかな対策をお考えいただきたいと思っています。
以上、質問を終わります。