平成22年度予算に対するレインボー世田谷の意見開陳
2010年 03月 29日 - 00:00 by aya kamikawa
平成二十二年度世田谷区各会計予算に賛成する立場から意見と要望を申し上げます。
本日の意見開陳では、さきの予算審議で取り上げた幾つかの課題を振り返りながら、基本的な三点に絞って意見と要望を申し上げたいと思います。
第一に、よいことと悪いことをしっかり峻別することを求めます。
企画総務領域の質疑で私からは、多くの職員が連日超過勤務を行いながら、上司の恣意的な判断で残業代が支払われない事例があることを、職員の証言をもとに指摘いたしました。その後、私のもとには同様の未払いを指摘する声が複数届いております。違法なサービス残業への感覚麻痺は、区政の多くの所管に広がっているのではないでしょうか。
今月二十五日、東京地裁は、都の職員が東京都を相手取って超過勤務手当未払い分の支払いを求めた訴訟で、職員側の訴えを認め、命令簿による職務命令がなくても暗黙の職務命令があったと認定できるとして、二年の時効を考慮した未払い賃金の支払いを都に命じました。ここには、世田谷区同様の不正のからくりを見ることができます。今、同様の裁判を起こされれば、区も完全に負けるのではないのでしょうか。
この状況は、職員の健康管理の面からも問題が大きいと考えます。
現状は、上司の判断一つで、連日、職員に過重な労働を押しつけながら、数字上はワークライフバランスに配慮ある労働環境であるかのように粉飾できることを意味します。これはつまり、過重労働で亡くなる人が出ても、その因果関係が数字にはあらわれず、過重な負担で心の健康を害する職員が出ても、それを環境改善の契機とできず、個人の資質の問題に置きかえてしまう可能性があるということです。
こうしたことは、決して許されることではありません。区は、ワークライフバランスを区民に説く前に、足元の不正から正すべきであります。倫理観の再点検とコンプライアンスの徹底を強く求めます。
また、補充質疑で私からは、区の公益通報制度、つまり、組織内部の不正を告発する制度のお手盛りなルールを批判いたしました。国の公益通報者保護法ガイドラインは、行政内部の通報窓口に加えて、弁護士等を配置した外部窓口を設けるよう明確に求めています。
ところが、区は行政内部にしか窓口を認めておりません。告発を受理するのも区の組織、中身を調査するのも区の組織、結論を出すのも区の組織です。これをお手盛りと呼ばずに何と呼ぶのでしょうか。
加えて、国のガイドラインは、法が定める最低限のほかに適正な業務の推進のために、各行政機関において定める事実を届け出対象に追加できるとしています。しかし、ここでも区は最低限の範囲しか届け出を認めません。さらに、ガイドラインは必要と認める事項を適宜公表すると透明性を求めておりますが、区は通報の中身はおろか、その件数すら公表しないという態度です。何から何まで国のガイドラインに反したこのような制度は早急に改められるべきであります。区の再考を強く求めます。
第二に、経費をかけずに豊かな行政運営を図る手法について、もっと知恵を絞っていただきたいと考えます。
さきの質疑で私からは、経費を削減しながら事務改善を図る具体策について幾つかの提案をいたしました。
総括質疑では、区政に多い封入封緘作業を従来の民間発注から区内福祉作業所への発注に切りかえることで、経費を大幅に削減しつつ、区内福祉作業所の仕事量確保と、利用者の工賃向上を同時に図ることができるとの指摘をいたしました。
具体例として、保健所からの郵便物を福祉作業所に委託した場合の見積もりをあわせて紹介しましたが、同様の民間事業者への高コスト発注は多くの部が共有するものだと考えます。ぜひ紹介事例も参考に、コストの削減と福祉の充実に取り組んでいただければと思います。
福祉保健領域の質疑では、AEDリースコストの削減策を提案いたしました。区で導入しているAEDは、現在二百三十一台に上ります。その導入手法は、購入が十四台、寄贈が三十八台、リースが百七十九台と、リースが圧倒的多数を占めており、その代金の合計額は、今年度だけで三百五十一万円余りに上ります。
質疑では、これらを民間が展開する広告つきAEDケースの無償設置、無償メンテナンスに切りかえてはどうかと提案いたしましたが、既に都立公園の四十カ所一括で行われている無償設置を見る限り、生命保険会社一社のごくシンプルな文字表示があるだけで、公費をかけないAEDの整備に私はむしろ好感を持ちました。とかく民間の広告物というと、行政は神経質になりますが、実例を見て判断していただきたいと思います。この取り組みが経費の削減と安心の輪の広がりにつながるよう期待いたします。
都市整備領域の質疑では、国が平成十六年度に創設した立体都市公園制度を取り上げました。区の答弁では、この制度で用地を買収することなく都市公園面積の増加が見込め、その設置に対して補助金や交付金の活用も考えられるとのことでした。区内には多摩川沿いに砧浄水場と砧下浄水所という大規模な種地もございます。地価の高い区内市街地での緑地拡充に向けて、ぜひ積極的な展開を検討いただければと思います。
文教領域の質疑では、区立図書館で把握している利用者のメールアドレスを長期返却延滞者への督促に活用することを提案いたしました。平成二十年度に区立図書館が送った督促はがきは五万七千二十六枚に上ります。しかし、未返却資料はこの十年で三万九千点余り。九千百六十五万円相当と、依然懸念されるレベルにとどまっております。
図書館では、全登録者数二十一万二千人のうち七万一千人余りのメールアドレスを既に把握しているといいます。区外の図書館では、既存のデータベースのメール送信機能を活用し、経費をかけずに複数回の督促を自動送信するなどして効果を上げる実例が出ています。
成田市や西東京市でもはがきをメールで代替することで経費を抑え、市川市立図書館では督促メールも督促電話もすべてコンピューターを用いた自動発信で成果を上げています。アイデア次第で、人手や経費をかけなくてもできる事務改善はまだまだあるはずであります。こうした事例も参考に、業務の効率化に知恵を絞っていただければと思います。
最後に、想像力を持って施策展開に当たっていただきたいということを申し上げます。
先日の一般質問で私からは、障害者を取り巻く医療環境の改善策について、五点にわたり提案をいたしました。
その一つが胃がん検診の改善です。現在の区の胃がん検診は狭い入り口に段差のある検診車を利用しているため、車いす利用者等は車に入ることすらできません。また、バリウムを飲み、細かく体位変換し、胃を機械で刺激するといった検査方法も、重い障害を持つ方々には不向きです。区に想像力があれば、こうした検診方法では利用できない区民が出ることも十分想像できたはずであるのに、区は何一つ有効な手を打ってきませんでした。そればかりか、障害を持つ区民から実際に利用できないとのお困りの声をいただきながら、区は何年もこの状態を放置しています。
今回、区は私の質疑に対し改善策の検討をお約束になりましたが、本来、こうしたことは、議員に指摘されるまでもなく検討できたはずの課題です。議員に言われたからやりましたではなく、そもそもさまざまな立場の区民がいることを前提にサービスの構築を考えていただくよう、全所管に求めます。
厳しい財政運営の中にあってこそ発想豊かに、本来の意味で幅広い区民にお喜びいただける施策展開を切に願いたい、そのことを重ねて申し上げて、レインボー世田谷の意見といたします。
