議会活動報告と成果

上川あやの議会活動報告です

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学校保健室の傷・やけどケアを見直せ

2009年 10月 13日 - 00:00 by aya kamikawa

◆上川あや

本日、私からは、保健室における傷、やけどケアについて伺いたいと思います。
まずは所管から、保健室での対応の現状についてご説明をいただきたいと思います。

◎ 大澤 学校健康推進課長

区立小中学校の保健室の現状としましては、軽症なすり傷、切り傷から、打撲、捻挫等の軽度なけがなどや、頭痛、腹痛などの病気に至る疾病まで、さまざまな症状で児童生徒が頻繁に保健室に来室しております。また、養護教諭が携わる救急処置は、けがの処置から救急車を要請する判断まで、多岐にわたっております。保健室では軽度の外傷の手当てを行い、医療行為による継続的な治療を必要と判断したものは、医療機関への搬送や帰宅後の通院を指導しております。
学校の規模によって異なりますが、過去の一例で申し上げますと、児童数が七百人程度の小学校では、すり傷、切り傷等の外科的疾病が保健室の来室理由の上位を占めております。一日平均四件、年間で七百人を超える児童が保健室で応急処置を施されております。

◆上川あや

すり傷あるいは切り傷のケアが保健室対応の上位を占めるとのことでしたけれども、所管にその対処方法を伺いましたところ、傷は消毒をし、ガーゼなどを当てて乾燥させるという従来型のケアが基本とのことでした。消毒薬とガーゼに代表される乾かすケア、いわばドライヒーリングというのが基本なんですね。しかし、このドライヒーリングの考え方は、今や誤った「常識」なのではないかというのが本日の問題提起です。

ご存じの方も多いと思いますけれども、平成十五年にNHKの「ためしてガッテン」という番組で特集が組まれて以降、このドライヒーリングの考え方には土台から見直しが迫られています。傷は密閉して適度な水分を保ったほうが早くきれいに治るという密閉療法、モイストヒーリングの考え方が最先端の医療現場から家庭へとおりてきているんですね。
この療法を推奨する石岡第一病院の夏井睦医師は、その原則を五つに集約して説明しています。
私なりにかみ砕いてご紹介をしたいと思います。

第一の原則は、傷口は乾かすと治らないというものです。露出した真皮は乾燥に弱く、乾燥が続けば細胞は容易に死滅をします。傷の回復には細胞が生存できる湿潤環境こそが不可欠という考えです。
第二は、消毒しても化膿は防げないという原則です。傷感染は細菌とともに異物や死んだ細胞が組織に混在したときにのみ起こります。逆に言えば、組織に異物や死んだ細胞が混在しないケースでは消毒は無意味であって、そこに予防効果はないそうです。
第三の原則、消毒は回復の妨げになるというものです。消毒薬は細菌以上に人体に強力に作用します。消毒薬原液の中で生存できる細菌はいるそうですけれども、希釈した消毒液でも人体細胞は容易に全滅してしまうそうです。このため、消毒をすればするほど細胞は死滅して、傷は治りにくくなるんだそうです。
第四の原則、傷をガーゼで覆ってはいけないんだそうです。傷口からしみ出る体液には細胞成長因子というものが含まれるそうです。皮膚の再生にはこうした成分の保持こそが必要で、それをガーゼで吸い取って乾かすのは傷の治りをおくらせ、傷跡を残りやすくするんだそうです。
最後の原則五、傷はよく洗ったほうがよいというものです。傷感染は細菌と異物が組織に混在することで起こりますので、これを防ぐには水道水などで患部をよく洗うことが重要だそうです。
以上の考え方に立った密閉パットが既に多くのメーカーから出ています。これは、きょう私が自宅の薬箱から探し出して持ってきたものなんですけれども、こういったパッドは、今、ドラッグストアでも簡単に手に入りまして、私もこの療法を日々実践している一人なんですけれども、傷口を洗ってパッドを張るだけで不思議と痛みが和らいで、消毒薬の痛みもなくて、非常にきれいに、しかも、早く治るという実感があります。

行政の取り組みでいいますと、江東区、杉並区、新宿区、中野区の養護の先生方は、既に密閉療法の学習会を積極的に開いて、現場の対応に生かし始めています。港区の子ども支援部も、昨年、この療法をぜひ勉強してほしいと、区内すべての保育園に資料を配付したとのことでした。伺うところ、堺市の所管でも全保育園にこの資料を配付したんだそうですね。
一方で、世田谷区には何の動きも見えてまいりません。区の現状はいかがなのか、お答えをいただければと思います。

◎ 大澤 学校健康推進課長

密閉療法につきましては、書籍、新聞記事、テレビ番組の放送等でも取り上げられて、傷は消毒しない、創面はガーゼを張って乾燥させるのではなく、湿潤することで傷跡を残さず痛みを軽減する効果があるということは聞いております。また、他区におきましても、小学校の養護教諭部会の研修の一環として、密閉療法を紹介するセミナーや講習会を開催、参加していることも把握しております。
世田谷区の取り組みにつきましては、研修会や講習会等に参加している事例はございません。

◆上川あや

ぜひ世田谷区でも他区におくれることなく取り組んでいただきたいんですね。
民間団体の調査によりますと、養護の先生方の間で密閉療法の認識率は既に九割を超えているそうです。一方で、認知する先生方の間でも学校への導入は一八%に限られています。その背景として、養護の先生方からは、保健の教科書そのものが消毒薬とガーゼによるケアを取り入れているので矛盾してしまう、あるいは、教職員に十分な理解がなく、消毒、ガーゼという従来の発想から抜け出せない人たちが多い、あるいは、保護者にも理解を広げる必要があるといった難しさを指摘する声が上がっています。
こうした問題の解決には、養護の先生のみならず、教職員に理解を広げる、あるいは保健だよりを通して保護者の方々にも働きかけるといった対処が必要だと思います。ぜひ区にも積極的にこの改善に向けて動いていただく必要を感じますが、いかがでしょうか。

◎ 大澤 学校健康推進課長

委員みずからもお話しのように、この密閉療法につきましては、情報が少ないこと、家庭でのアフターケアの不安、保護者への理解を得る必要が得られていないこと、保健学習の教育内容との整合性が必要であること、また、コストの面など課題があることが、養護教諭の教育学会誌でも取り上げられております。
とはいえ、何よりも子どもの安全、健康が第一でありますので、基本となる健康の保持、増進に結びつくこととして、従来の知識に固執することなく、新しい情報を敏感に取り入れ、教職員及び保護者を含めた意識を変えていくことは必要なことと考えます。学校や保護者に対しまして新しい情報の共有を図る観点からも、ご指摘の療法を研修会の題材の一つに加えることや、保護者へ周知することも必要でありますので、養護部会等へ問題提起していきたいと考えております。

◆上川あや

新しい位置づけへの情報はふえていますのに、それを取り上げることなく、子どもに生涯残るような傷が残るようでは困りますので、しっかりとお願いしたいと思います。