あや流一期一会日記

※文中の画像は、一部を除き、クリックしていただくと大きな画像でご覧いただけます。 Internet Explorer をお使いの方で、大きな画像にカーソルを乗せたときに右下に「拡大ボタン」が表示されるときは、 そのボタンを押していただくと、さらに画像を拡大してご覧いただくことができます。

7月19日 国際女性ビジネス会議

2008年 07月 20日 - 00:00 by aya kamikawa

朝9時から東京都心のお台場へ。

国際女性ビジネス会議の様子
ホテル・グランパシフィックLE DAIBAで開かれた、国際女性ビジネス会議に丸一日、参加して帰ってきた。
同会議の開催は今年で13回目になるという。しかしその前身となる会議は、別の名で開かれていて、その会議開催も含めれば、今年で20年目になるそうだ。
この間、会議を率いてきた女性たちの先見の明、その継続の努力には敬服するばかりである。


そして今年の同会議のテーマは、「ダイバーシティ」、つまり日本語でいうところの「多様性」である。
そしてサブタイトルには~多様性の生み出す経済成長~が、謳われている。
――同質性の強い日本社会であるけれど、経済のグローバル化と価値観の多様化、情報の多元化はいやおうなく進んでゆく。
だからこそ、ビジネスもこれに即応し、多様性をみずからの中に取り込み、育ててゆく視点をもたなければ、もはや存立も成長もありえない――というのが会議の基本認識なのだ。

そして今回、私もこの基本テーマに沿って設定された分科会で講師を仰せつかっていた。
分科会のテーマはズバリ、「LGBTと企業社会」である。
LGBTってナンじゃらホイ?、という人もいると思うので念のため説明すると、Lは女性の同性愛者であるレズビアンを、Gは男性の同性愛者であるゲイを、Bは男女両方に惹かれるバイセクシュアルを指す。
Tは男/女の二分法にとらわれない生き方をする「トランスジェンダー」のことで、一般に、性同一性障害もここに含まれる。
つまり、LGBTは性のマイノリティを包括した概念で、これに企業社会はどう向き合ってゆくべきか――が分科会のテーマなのだ。
それがビジネスと、どんな関係があるの?と、日本では、まだまだ思われそうなんだけど、欧米先進諸国では、LGBTはすでにマーケットとして注目されて久しい概念といえる。
LGBTの多くが、いわゆるディンクス(double income no kidsの略。共働きで子どもがいない)である分、可処分所得が高く、消費性向も敏感な人たちという受け止め方が欧米では広がっていて、LGBTを意識した広告宣伝が欧米では盛んに行われている現状があるのだ。
とはいえ日本の大きなビジネス会議で、こうしたテーマが取り上げられたのは、おそらく初のことだろう。

ファシリテーターを、東大大学院準教授の瀬地山角さんが務め、メリルリンチ日本証券人事部長のクローデット・バイヤーズさんが私とともに分科会講師を務めた。
瀬地山さんとご一緒したのは、品川区主催のシンポジウム以来だから4年半ぶり、クローデットさんとは今回の出会いがはじめてである。
私からは、日本のLGBTの置かれた状況の概説と、近年の当事者意識の変化、欧米の差別禁止法の動き(2006年9月の全米の調査で、性的指向への差別、つまり同性愛者や両性愛者への差別を州法で禁じている州が9州。
性自認への差別、つまりトランスジェンダーへの差別を併せて禁じている州が8州)と、グローバル企業に広がるCSR(CSR:企業の社会的責任。欧米グローバル企業には、社員による同性愛者差別を厳格に禁じている例が少なくない)での扱い、日本企業の人権意識の立ち遅れなどについて説明した。

クローデットさんからは、先進的な社内の取組みの発端と、その現状の説明があった。
日本のメリルリンチで働く従業員は、現在、約1800人。
東京のオフィスには、なんと36カ国から従業員が集まって働いているのだそうだ。
社内のゲイ、レズビアンには異性愛者のカップル同様のパートナーとしての権利を付与する、というのが同社の基本方針で、社員それぞれのライフスタイルを重んじ個人の能力を伸ばすことが会社の利益につながる、というフィロソフィーが一貫している。
こうした企業風土のなか、オープンリー・ゲイ(同性愛を公言している人)の外国籍社員は少なくないようだけど、日本人スタッフで、オープンリー・ゲイという人には、まだ出会ったことが無いのが現状なのだそうだ。

他の分科会に比べ、決して参加者数は多くなかったけれど、参加くださった方々の関心は強く、反応もポジティブ! 聴衆の反応やいかに…?と思っていたけれど非常に心強かった。
質疑も次々と出されて時間が足りないくらい。
正直、倍くらい時間が欲しかった。
ともかくも、ご参加くださったみなさんと、セッティングしてくださった関係者には感謝!です。

国際女性ビジネス会議の様子
丸一日、10時間に及んだ会議だったんだけど、講師陣の話はどれも面白くて、終わってみればあっという間だった。
お昼は1000人あまりが一室に着席(しかも圧倒的に女性ばかり…笑)して、コース料理をいただき、夜は夜で一同、一室に集まっての立食でパーティー…。

次々、料理が運ばれてきて、お酒も入り、それはそれは賑やかでした。
社交性の高い人たちが参加者の大多数であると見えて、いったん料理を取りに行こうものなら、もう元の場所には戻れない(笑)。ゆく先々で次々と声をかけられ、ついつい話が盛り上がって戻れなくなるのだ(笑)
会議のパンフレットで私の出席をしっていたのだろう、世田谷区在住のビジネス・ウーマンたちも次々、声をかけてくださって、その都度、会話の華が咲く。
ともかくも、新しい出会いが、とっても嬉しい一日でした。

一緒に講師を務めた、クローデットさんも、とても楽しい人だった。
彼女とは先日の打ち合わせでつかの間、同席したきりで、今日あらためて言葉を交わしたんだけど、いったん話し始めたら、あっという間に打ち解けて、話し始めた数分後には、ついついお互いタメぐちになるほどのウマの合いようだった…(笑)
「近いうち、絶対、ご飯たべようね!」と今日はわかれたけれど、早くも再会が楽しみです。

***

LGBTという概念、当事者以外の巷では、ほとんど知られていないんじゃないの?! というのがこれまでの日本の状況だったんだけど、そんな日本も今、変化の潮目かもしれないなぁ…とちょっと思う。
NHK教育でLGBTを扱った番組放送も始まったし、今回のビジネス会議でも正面から取り上げられていた。
この秋、富山で開かれる、日本最大級の男女協働参画会議、「日本女性会議」でも、この問題に焦点が当てられることになりそうだ(この会議でも私は講師を仰せつかっている。詳しい開催要綱はこちら)。
今月3日の日大理工学部での講義、今週16日の宇都宮市での講演、そして今回の会議に引き続き、8月は企業の人権研修会の講師のご依頼がいくつか入っている。
日本の企業社会の対応も少しずつ変わってゆくのだと、期待したい。
私もいただいた機会を最大限、有意義なものとできるよう頑張っていかないと。

***

青春と読書
先月、日記で取り上げた作家・帚木蓬生さんとの対談(過日の様子はこちら)の様子が雑誌『青春と読書』の最新号(2008年8月号)に出ています。
題して「対談 帚木蓬生×上川あや 事実はマイノリティに宿る」。
ぜひぜひ、ご覧ください。