あや流一期一会日記

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5月19日 臨時議会閉会。日英のLGBT政策担当者ミーティング。

2008年 05月 21日 - 00:00 by aya kamikawa

区議会臨時会の最終日。
10時から議会運営委員会、午後1時から本会議が開かれた。
本会議の議題は、専決処分の承認、請願の処理、議場の議席変更、議会運営委員会委員の選任など。
すべて賛成多数で可決。
終了予定時刻の午後2時を前に、臨時会閉会。
次の定例会は6月11日の見込み。次の議会質問の通告期限は2週間後。
質疑の準備、いよいよ本格化させなくちゃ…。

***

本会議終了後、議会フロアのコピー機をフル回転。
午後の来客にそなえ、急きょ、資料作りに精を出した。
今日は、ちょっと珍しいお客さまが予定されていた。
イギリスのブリストル市役所で、LGBT(Lesbian(女性同性愛者), Gay(男性同性愛者), Bisexual(両性愛者), Transgender(性別越境者)の頭文字をならべた頭字語。いわゆる性的少数者)支援に取り組んでいる職員の方々が来庁するのだ。

実は、今日の来訪メンバーの多くと私とは、初対面じゃない。
一昨年春、ジュネーブで開かれた性的少数者の国際会議(ILGA世界会議)でご一緒しており、今日は久しぶりの再会である。
先週、一行が日本を訪ねるのでぜひ会いたいとのリクエストを受け、急きょ日程をアレンジ。
せっかく区議会までお越しになるのだからと、同様の施策に関心をもつ議員、行政職員に声をかけ、区庁舎でのミーティングをアレンジした。

ブリストル市からは、市議会のYouth and Play Service (YPS) でプロジェクト・マネージャーとして働いているKaz Williamsさん、同じく市議会YPSで、LGBTの若者グループの支援、学校現場でのLGBT支援に取り組んでいるBabs McPhailさんが出席。
今回の来日をイギリス側からアレンジした、細見由紀子さんと、日本側から同日程をアレンジした国際基督教大学ジェンダー研究センターの井上有子さんにも同席いただき、通訳の労をおとりいただいた。
世田谷区からは文化・国際・男女共同参画課長と、研修調査室次長、教育委員会の総括指導主事と、同指導主事の参加を得た。それぞれ、各分野で具体的な施策の詰めを行っている方々で、積極的な参加がありがたい。
性的少数者の人権課題に関心をもって議会活動している議員さんたちにも声をかけた。
松浦大悟参議院議員、文京区議の前田区議、同僚の桜井純子区議、そして私を加えた総勢12名でミーティングは、スタート。
――考えてみると、LGBT支援をめぐる日英の政策担当者が一堂に会し、交流するなんて本邦初(?!) じゃなかろうか…(笑)。
まずは、メンバー全員で区議会議長を表敬訪問、続いて議会委員会室へ移動、会議は2時間強に及んだ。

***

全体と通して、ブリストルの同性愛者に対する取り組みは、やっぱり進んでいるなぁ~と思った。
逆に意外だったのが、ブリストルのトランスジェンダーに対する行政の取り組みが低調だったこと。
話を伺っていると、世田谷区の取り組みの方が、より具体的、積極的な感じで、同性愛者/両性愛者をめぐる課題と、性同一性障害/トランスジェンダーをめぐる課題のどちらにより力点を置いて取り組んでいるのかが、まったく逆なのが興味深かった(ブリストルでは、同性愛>トランスジェンダー、日本では「性同一性障害」>同性愛という図式)。
ブリストル市の場合、「LGB」、つまり「性的指向」への差別に対応したアクション・プラン(Lesbian, Gay, Bisexual Equality-Action Plan 2007-2010)は既に策定を終え、具体的に動きだしているのに対し、「T」、つまり、性を越境するトランスジェンダーに対するプランづくりは、今後の課題なのだそうだ。
こうした動きは、ブリストルに限った話ではない。
政府レベルでも、同性間のパートナーシップを認める法整備(同性愛カップルにも、夫婦と同レベルの権利と義務を認める法律。準婚制度)が行なわれているし、法整備によりLGBに対するアクション・プランの策定は、来年にも全自治体の義務となる見通しだという。
医の権威と、「特例法」という法の権威のもと、「性同一性障害」に偏重した取り組みが目立つ昨今の日本とは、まさに対照的である。

LGBへの支援を軸に市が拠出している予算額は、年間9万8000ポンド。
日本円になおすと何と約2000万(!!) 
役所には担当職員も3人いるとのこと。日本の地域行政との落差にあらためてビックリするやら、ガックリするやら…。
世田谷区政でも、区の職員研修の内容には非常に優れたものがあるし、教育委員会が教員を対象に行なう人権研修、管理職研修でも性的マイノリティーの課題は取り上げられている。
性差別の解消に取り組む、区の男女共同参画担当でも、性的マイノリティーの抱える困難について、一般向けの講座やセミナーの開催を予定している(これらは区が昨年、取りまとめた「男女共同参画プラン」に明記されている)が、ブリストル市の取り組みの「本気度」には脱帽である。
世田谷区の取り組みはこれでも日本の自治体の中では、ずいぶん進んでいるほうなのだけれど――。

やっぱり、当事者のビジビリティ(その存在の社会的視認性)がちがう分、行政の「本気度」も違うなぁ…とつくづく。

ちなみに、ブリストル市の人口は、世田谷区の半分以下(ブリストル41万人に対し、世田谷は84万人)。
しかし、同性愛者/両性愛者のビジビリティ(可視性)に関して言えば、ブリストルの方が、世田谷のはるか先を走っている感じだ。
ブリストルで選出される国会議員は3人。
うち1人はオープンリー・ゲイ(同性愛を公言している議員)である。
25人いる市議会議員の中にも、2人のオープンリー・ゲイの議員が含まれている。
加えて市の支援を受けて活動している行政職員グループの中にも、性的少数者を中心としたグループ(メンバー約70人)があり、適宜、市の政策決定にも当事者ならではの視点から意見しているそうだ。

トランスジェンダー/「性同一性障害」を公表している議員が一人、発言を続けてしているだけで、同性愛者を公言する議員の姿もない、同性愛者の職員の姿もない、同性愛者の市民から意見や要望すらも届かない世田谷区とは大違いである。
政策決定の現場において、「沈黙」は無に等しい。
差別を恐れて姿を隠しているだけじゃ、問題の根本は変わらない。
自分たちにできる方法で、声を上げてゆくことがとても大切だ。いつの時代も、姿の見える当事者の存在、その声、その行動こそが社会を動かしてゆく原動力なのだ。